ウマ娘のダイイチルビーの育成ストーリーが良すぎた話

ダイイチルビーの初回育成がまだだったのと、時間が取れそうだったので、じっくり読み進めてみたらクラシック~シニア級であまりにもストーリーが良すぎたので、印象が熱いうちに書き残しておこうと思った。
(口下手によりプレイ済みの人と感情を共有しようにも上手く話せない自信もあるため)

 


■ストーリーの軸「最たる輝き」

 

ダイイチルビーの育成ストーリーの軸は「"華麗なる一族"として最たる輝きを示す」の変遷だったように思う。

育成をスタートした時点では牝馬クラシック三冠から中距離王道路線を歩むことが自分に課せられた使命としており、オークスで距離適性の無さを自身で認識しつつも「短距離は私の道ではない」として規定路線通り秋華賞を目指す。
「最たる輝きを示す」手段はティアラ路線の悲願達成のみ、という意思が強い。

夏合宿でのメジロラモーヌとの併走で転機が訪れる。
ティアラ路線を目指す道だけが輝きを示す手段ではない、その血脈に宿るスピードで示すこともできるとトレーナーから与えられた啓示により、短距離路線転向を躊躇わせる心理的な重しがなくなる。
高松宮記念安田記念で走る中でその手応えを自身も感じているような描写になっており「最たる輝きを示す」ことに手応えを感じているように読み取ることができた。

そしてシニア級のスプリンターズSで、限界を超えて自分を追い込むケイエスミラクルに対してどう接するか葛藤の末、自身を超えたいと願うほどの眩さを放つこと、進むべき未来へ導くため「最たる輝きを示す」ことが"華麗なる一族"の使命だと自己定義する。
ケイエスミラクルは自分の全てを賭けたこのレースに負けるが、ダイイチルビーの眩さへの憧れで未来に向かう意思を伝える。
このシーンは本当に素晴らしく、アニメで見たいと100万回思いながら読んだ。

 


■トレーナーの成長「変わりましたね」

 

ダイイチルビーの育成ストーリーのトレーナーは、ストーリーを通してかなり成長する部類に入る印象だった。
ダイイチルビーは極めて自己を律するウマ娘で、路線も始めから自分で決めてしまっているのでトレーナーはジュニア級から桜花賞辺りまでは方針に関する助言はなかなかできない。

オークスで距離適性の無さに気づく辺りから徐々に方針に関しても主張できるようになっていくが、こちらもやはり転機は2年目の夏合宿で、まさに「啓示を与えた」ことで信頼が深まり、ダイイチルビーとの会話もぎこちなさがなくなっていく。

マイルCSを盛り上げるべく飛び回り、ダイイチルビーから「変わりましたね」と言われたシーンでは、これはトレーナーの成長物語だったのかと誤解するほどだった。
(普通トレーナーからウマ娘にかける言葉では?というか常に静かな眼差しでトレーナーの事をしっかり観察していたのかとか、尊み・・)

 


ダイタクヘリオスケイエスミラクルあっての物語

 

この育成ストーリーのメインゲストはダイタクヘリオスケイエスミラクルだったが、2人ともそれぞれにキャラが良すぎてストーリー上不可欠の存在だった。
ダイタクヘリオスは何度もダイイチルビーにアプローチしては塩対応され、ストーリーにしっかりコメディのアクセントを足しており、そのうちライバルとしても認められる美味しい立ち位置。
ケイエスミラクルは上述の通りスプリンターズSに関するやり取りが素晴らしすぎて、その後のスワンSは目標レースにはなっていないがこの流れで出走しない選択肢無いでしょという気持ちになるしかなかった。

 


■当時と現在のレース時期の違いを生かした工夫

 

ダイイチルビーケイエスミラクルが走った1991年のスプリンターズSは12/15、スワンSは10/26という日付になっていて、現在とは順番が逆になっている。
実際の競走馬のケイエスミラクルスワンSマイルCSに出走した後のスプリンターズSで故障を発生してしまったが、ウマ娘の育成ストーリーでは現在のレース時期に合わせることで、スプリンターズSにおいてケイエスミラクルダイイチルビーの後塵を拝して再起を志し、ダイイチルビースワンSへの出走を打診するという心憎い演出になっていることが素晴らしい工夫だと思った。

 


■終わりに

 

ダイイチルビーは今まで読んだウマ娘の育成ストーリーの中でも指折りの話だった。
ウマ娘のストーリーは基本的に出来が良く、馴染みのない古い競走馬でもつい出典を調べたくなる。
また時間が取れればじっくり育成ストーリーを読んでみたい。

 



以上です。