最近見た映画の話(8~9月・サメ以外編)

前回の続きです。

 

■ウォーキング・ウィズ・エネミー / ナチスになりすました男

 

第二次世界大戦中のハンガリーの話。アマプラで見た。

 

ハンガリー国内のユダヤ人をスイスに逃がすために奔走する若者を主人公としており、仲間を救出するべくナチスの将校の制服で変装して親ナチスの矢十字党の兵士とやり合ったりしているが、本当にただ変装しているだけで勢いオンリーで騙すのはイゼルローンを乗っ取ったシェーンコップか???となった。

 

そこだけは興ざめだったが、官邸をナチスが襲撃するシーンの迫力があったこと、ナチスの威を借る矢十字党の所業をしっかり描こうとしていて良い映画だと思った。

 


■白鯨との闘い

 

人間が鯨油のためにバカスカ鯨を狩りまくっていた1800年代の話。アマプラで見た。

 

序盤の航海シーンや最初のマッコウクジラ狩りのシーンでも十二分に迫力があるが、狩った鯨の頭から鯨油を汲み出すシーンは圧巻だった。

 

そして白鯨と呼ばれる超サイズのマッコウクジラとの対決。為す術もなく破壊されるエセックス号。

漂流し、生き延びるために苦渋の選択を強いられる悲壮なセクションも見応えがある。

 

エンドロールも入れると2時間超の長い映画だが、場面転換も多く退屈することのない良い映画だった。

 


スペシャル・フォース

 

アフガニスタンで取材を続けるフランス人ジャーナリストがタリバンに捕まり、それを救出するため同国の特殊部隊が作戦行動を行うフランスの映画。アマプラで見た。

 

音楽が攻殻機動隊SACっぽい。


特殊部隊の俺TUEEを楽しむ映画ではなく、タリバンに追われながら過酷な雪山逃避行をする話で、ジャーナリスト1人のためにフォースが1人また1人と死んでいく展開のせいかネット上での評価は低いようだった。


個人的には、そういう軍の姿を描きたい映画なんだろうと思って見ていたので、いい映画ということも無いが、特に途中で見るのをやめるというほどでも無かった。
銃撃戦はフランス軍の協力があるためか迫力があった。

 


■犬に名前をつける日

 

飼育放棄されたペットや震災で置き去りにされたペットを取り扱った半ドキュメンタリードラマ映画。アマプラで見た。

 

以前これもアマプラで見た「犬部!」と同じ山田あかねが監督の作品で、監督が愛犬を亡くしてから犬の命をテーマに4年間200時間撮り溜めた映像をベースに、基本的に殺処分行きの犬猫を保護するNPO団体に主人公が同行する形で映像が進む話。

 

無責任なペットブリーダーも登場するが、この作品が伝えたいのは何より「飼う側が終生飼養の覚悟を持つことが重要」ということ。

 

私は柴犬が好きなので、震災をきっかけに飼い主と一緒にいられなくなった柴犬がストレスで自傷してしまい、保護先でも人に馴染めない様子がつらく、またその後保護団体のスタッフの車で飼い主のところに訪問した時の喜びようが愛おしかった。

 


■アニアーラ

 

詩人ハリー・マーティンソンの同名の長編叙事詩を原作とした宇宙SF映画。アマプラで見た。

 

放射能汚染された地球から火星への移住を行う乗客8000人を乗せた宇宙船アニアーラが事故により航行不能となり、救助も望めない中船内の人間がどのように生きていくのかを長いスパンで描いた作品。

 

舞台設定の特徴として、この宇宙船は自給自足が可能で、よくある宇宙漂流モノの「酸素残量」や「食料が残り何日分」といったサバイバルに関する表現が出てこない。
作中では~年後、~年後という風に年月が経過していく。


そのためこれは宇宙船の話としてだけでなく、現代地球上における行き詰まっていく社会、救い・希望のないコミュニティの比喩の話としても見ることができると思った。

 

ただ「人間が狂気に侵されていく」という平易な内容ではなく、精神の安定を求めてメンタルケアAIに依存したり宗教を作ったり、上流階級と下流階級が形成されたり、希望にすがったりぬか喜びしたりしながら、長い目で見て壊れていく人間のアクアリウム

 

救いのない話だったが、いい映画だった。

 


以上です。